2024.06.20
昨日6月19日(水)、新宿ピカデリーにて映画『#お母さんが一緒』の完成披露上映会を開催しました。
映画『お母さんが一緒』の初お披露目となったこの上映後、橋口亮輔監督とキャスト(江口のりこさん、内田慈さん、古川琴音さん、
青山フォール勝ちさん)が勢揃いし舞台挨拶を行いました。
映画を観終えたばかりの観客の皆さんからの拍手に迎えられて始まった
舞台挨拶は、終始、笑いが絶えずあたたかな空気に満たされた幸せな時間となりました。
映画の中では江口さん内田さん古川さん演じる三姉妹が、温泉旅館で
激しい喧嘩を繰り広げますが3人の実際の仲は? と聞かれると、
江口さんは、「あの一室に閉じこもって、何日も何日もやってたので、
とても大変でした…」と苦笑を浮かべつつ「何もないところで、朝から
晩まで一緒にいると、どうしたって仲良くなるんですよね」と撮影を
通してキャストの皆と絆を深めたことを明かしました。
青山さんは終盤の長台詞のシーンで、撮影が一発OKだったことを明かしつつ
「終わった後で監督から『このシーンは2回、失敗したら、撮るのをやめていた。
時間がないので2回しか撮れない予定だったけど、一発で決めてくれて良かった』
と言われまして…。もし2回失敗してたらどうなってたんだろう…と」と衝撃の告白。
橋口監督は「そんな残酷な言い方はしてないです」と苦笑しつつ
「リハーサルの時点で、青山くんは忙しいのでセリフも方言も入ってなくて、
『どうしようかな。心配だな』と思い『恋人たち』のDVDを渡し
て『最後に篠原篤の長いセリフがあるけど、5時間かかったんだよ』
とすごいプレッシャーを掛けてしまいまして、あとで青山くんに謝りました。
青山くんの生涯No.1の映画は『アベンジャーズ』なんですよ。
そういう方に『恋人たち』という重い映画を見せて、申し訳なかったです。
『観た?』と聞いたら『観ました』と言ってくれたので、『どうだった?』
と聞いたら『僕にはできません…』って(笑)。それでもやっぱりプロですね。
現場に来たら、セリフも方言も入っていました。このシーンに5時間かける
わけにいかないから、(最大で)2回かな? と思っていたら、テストから
本当に素晴らしかったです」と見事に大役をこなした青山さんを称賛。
ちなみに「2回、失敗したらやめていた」という言葉は直接青山さんに
言ったのではなく、近くにいた江口さんに「ポロっと言った」(橋口監督)
とのこと。江口さんは「終わって、橋口さんが『2回ダメだったらあきらめようと
思ってた』というのを聞いて、こんな面白い話はない! と思い、
青山さんにお伝えしました(笑)」と顛末を明かし、会場は爆笑に包まれました。
古川さんは、「私がこの脚本を読んだ時、最初に思い出したのが母親のことでした。
母と母方のおばと祖母の3人が、この三姉妹のようで、集まるとどうしても
ケンカが起こるんです。3人とも『私はお母さんに似てない』とか
『お姉ちゃんに似てない』と言い張ってるけど、私は3人の中にちゃんと3人が
いるなと思っていて、『だからあなたたちは家族なんだよ』と心の中で
思ってたんですけど、いま、私が母に似てるんじゃないかという気持ちが
どんどん芽生えてきて、何か失敗したりすると『あぁ、お母さんがこういう
性格だから私もこうなっちゃった』と思ったりして、そこでハッと
『私もお母さんだわ…』と気づいたり。自分の中に清美、愛美、弥生がいるなって
思いました」と語りました。
内田さんは、劇中の姉妹たちと同じように、家族に感情を抑えきれずに
怒りをぶつけた経験があることを明かし、
「この映画で好きなのは、修正不可能なくらいぶつかっても、自分の意志で
再生しようと戻ってくるところ。それは『家族だから』とも言えるけど、
家族はすごく近いけど他者だってことをみんなが一回、理解して、再生しようとする。
自分の家族とも、そういう距離感で接することができたらいいなと思います」と語りました。
橋口監督は映画の中で印象的なシーンとして、江口がアイロンをかけながら鼻歌で、
昭和歌謡の「赤いサラファン」を歌うシーンをあげ、
「たぶんお母さんが昭和の人で、歌ってたんだと思います。いつも、悪口ばかり
言ってるけど、ちゃんと弥生の中にもお母さんがいるんだなと思うし、
妹たちにもいつも口うるさいけど、愛美のブラウスにアイロンをかけてあげる姿が、
お母さんの姿に重なるんですよね。僕もそういえば、両親に守られていたんだなと
思いました。ケンカばかりしていたけど、それでも守られていたんだなとしみじみと
アイロンをかける江口さんの姿を見て思い出しました」と語っていました。
最後に江口さんは「私はこの映画がとても大好きなのでいろんな人に宣伝して
もらいたいです」と呼びかけ、最後に橋口監督が、「いつもの私の映画とは
趣が変わって、楽しくて笑えて、そしてちょっと切なく痛いところもある、
軽快な物語になっていると思います。この4人の出演者が、本当に奇跡的に
スケジュールが合いまして、去年の9月に撮影に入れたことが幸運だし幸せなことでした」
と本作への思いとキャストの皆さんへの感謝を口にし、
会場はふたたび温かい拍手に包まれて、舞台挨拶は終了となりました。
映画は7月12日(金)から公開です。ぜひ皆様スクリーンでご覧ください!